なんか真面目な話

僕は今、カフェを経営しています。

調理も接客もすべて一人で切り盛りしています。


小さい店なので、すぐ満席になって入れないし、

混めば料理の提供に時間はかかるし、

お客様にとっては不便な店だと思います。

宴会をしようと思えば、料理やビールサーバーの並んだカウンターからお客さんに自由にとってもらってるし、

お水もポットでテーブルにポンと置くだけ、ご自分でそそいでね、というスタイルです。


そんなめんどくさい店でもリピーターの方はたくさんいて、それなりに高い評価を頂いています。

今月だけで2回も宴会に使ってくれている方もいます。友達でも何でもありません。本当にただのお客さんですが、愛されています。


なんでわざわざお客様の利便性をとらずに、一人で切り盛りする形をとったのかというと、

まず、良い時と悪い時の浮き沈みの差が小さくて済むので安定させやすいということ。


そして、もう一つは働き手が減っているということ。

これから先、もっと人手が減っていくのは目に見えているので、

勝手に人手が減った未来を想定したお店をやっているのです。

「こんなに不便な店をやってもお客さんは来るのか」の実験をしているのです。



大きな店は人手が要る

どれだけテクノロジーが発達しても、飲食店というのは今後も必要とされ続け、なくなることはないと思っています。

ですが、少子化で人口は減り続け、働き手は減る一方。

多くのスタッフがいなきゃ回らない店づくりには限界が来ています。

事実、飲食店はスタッフの補充に苦労しています。旭川にも人手不足を理由に閉店したお店もあります。

求職者の数より仕事の数の方が多い時代です。

そのうえ飲食店は、わざわざそこで働く理由が薄いです。

価格競争や過剰なサービスのしわ寄せがスタッフに降りかかったりするわけですから。


だから僕は、少人数で回せる店の形を作る必要があると思っています。

自分のお店を始めようと思ったときに目指したのは、

「一人で回せる店の成功例を作り、人に伝え、買物公園の空き店舗を埋めること」です。


大きなお店がドーンとあるより、色とりどりの個性豊かな小さな店がずらーっと並んでた方が楽しいと思うからです。



「お客様ファースト」じゃない部分も受け入れる

人手が減れば、これまでのような「何もかもお客様ファースト」なお店は減ってきます。

僕の店で言うところの「自分でビールを注がなきゃいけない」とか、「料理に時間がかかる」とかです。

人手が減る以上、絶対に今後そういった不便なお店が増えてくるので、お客さん側も多少の不便さを許容できる柔軟さをもった方が、選択肢が増えて楽しめるようになると思います。


その分、逆にお店側は、不便さを補えるような魅力を作ることが求められます。

僕の店で言えば、便利さを捨てるかわりに、良い食材を使ったり、手間を惜しまず手作りにこだわったりしているわけです。


僕は自分の店についても、口コミサイトなどに「不便な店」だとか「怠慢」だとか書かれる覚悟も少しはしていたのですが、幸い今のところそういった声はありません。

どれも理解のあるお客様からの温かいお声ばかりで、本当に励みになっています。


僕は、そういったような、多少不便でも小規模で利益を上げられるお店が増えて、

お客さんもその不便さを許容できるようになることが、

将来的に飲食が地域に貢献できる度合いを高くするんじゃないかと考えています。


大きな一店舗が独り勝ちするのではなく、小規模店舗が増えて選択肢が増えた方が、地域全体が賑わい、その街の魅力が増え、観光客が増え、住む人が増え、結果的にみんなが勝ちになると思うんです。



お笑い劇場にも応用するのだ

カフェで一人でどれだけ頑張って料理を作っても、2時間の中で対応できるお客さんの人数はたった10数名です。

でも、お笑い芸人が舞台に立てば、一人で同時に何百人の対応ができます。単純にビジネスとしてすごい。

そのレベルになるまでにとてつもない時間がかかるとしても、すごい。

だってカフェでは何万時間かけて鍛錬したとしても、対応できる人数は10数人を絶対に超えることができません。

お笑い芸人は「少人数で利益を上げる」の究極の職業です。

僕らは、そういう人が育つ場所を作ろうとしているのです。旭川に。


そして、以前の記事にも書いたように、僕らはお笑い劇場に様々な付加価値を付けて1日中楽しめるようにしたいと思っていて、

それはカフェやバーだったり、ショッピングだったり、遊びや体験だったりの構想があるのですが、

それらの運営も、小さなブースをたくさん設置して、それぞれを最少人数で回せるモデルを作りたいと思っています。


これが正解かどうかはわかりませんが、こう見えても色々考えているわけですね。


「おいそれは違うだろ」と思った方がいらっしゃいましたら、どうかご連絡ください。

ぜひ旭川の未来のために議論しましょう。

(執筆者:えのき)

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